冒頭ガラスケースに収まったゴッドフリートゼンパーとウィリアムモリスの著書が来場者を迎える。両者の存在がバウハウスの歴史的な位置づけを象徴する。
バウハウスを彩ったカンディンスキー、クレー、グロピウス、ミース、ブロイヤーにリレイティブスと言えるロシア構成主義のリシツキーラドチェンコ、デスティールのモンドリアン、リートフェルトといった綺羅星のドローイング、模型、家具のなかで最も刺激的であったのは同時代のドイツの紙幣だ。
印刷された数字はリシツキー、ラドチェンコらによるソ連プロパガンダを担った機関誌の表紙に度々みられるものでまた紙幣全体は何らの比率によって分割されてモンドリアンさながらだ。今日スイスフランの洗練した紙幣を目にしても同じくモダンな様に違和感はないが時は20世紀初頭の話だ。
キャプションによればドイツのある州で臨時に発行されたものであるという。
これまでバウハウスと聞けば実物の家具、建築、写真、絵画等でいくらも頭に浮かんでくる。その後の悲運は抜きにしてバウハウスが当初国立学校でだったことを差し引いても
紙幣という国家の象徴的なものに言い換えれば最も保守的なはずの背景に採用した寛容さに驚きを禁じ得ない。
2008年5月バウハウス展 芸大美術館にて
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