「トークラジオ」はテキサス州ダラスを拠点とする地方放送局のある番組をめぐる映画だ。エクソンモービルやアメリカン航空など世界的な企業が本社をおいている砂漠のなかの都市だ。またその空港も全米一の離発着量を誇る。南部を代表する都市のひとつに数えられる。だがその広さといえばいずれかの摩天楼の高層階にあがれば街は一望でき、その向こう側に広がる地平線も容易に見渡せる。
映画はダラスの摩天楼から始まり、摩天楼に終わところは執拗に摩天楼を追いかけている印象さえある。摩天楼を追いかけとは摩天楼を取り巻く間を追いかけることでもある。なかなか言葉に落とすことのできないダラスをみせてくれる。この映画はダラスの空気を吸って生きている。
この番組は毒舌ホストと電話の向こうのリスナーとのいいたい放題をライブのオンエアーが目玉だ。
劇中の十中八九はトークが占める。息をつく暇もないその内容にその音声にも飽き飽きさせられ 時には耳をふさぎたくなる。裏を返せばその少々オーバーな演出を引いたとしても大変な熱演だ。それもそうでこの主人公を演じる俳優は自作自演で舞台をやっていたのをオリバーストーンが映画化したものでなるほど演技に地に足が着いている。
劇中最後のダラスの摩天楼街は驚くほど静かだ。決して息がつけるわけではない。ダラスの夜の摩天楼を背景にトークは最後まで続く。だが静かだ。音声を載せた電波の飛び交う摩天楼街は大変に静かだ。
★以前にある競技設計である提案者がたとえばひとつの空間を共有するのに壁がなくとも両者に距離というか広さがあれば成立するのではないかというものだった。それがなんとなくこの街にあるのかもしれない。
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